2008年3月18日火曜日

硫黄島守備隊の強さ

皆さん、本日のお題は日経ビジネス3.17号の「有訓無訓」より。
計見一雄さんという日本精神科救急学会元理事長のお話。
計見さんは精神医学は戦争と深い関係があると述べてある。
「シェルショック」という言葉があり、この意味は戦闘のストレスで精神が疲労してしまった兵士の状態を指すという。
このストレスで倒れた兵士が早く回復してもらわないと、残った兵士にますますストレスがかかる。
そうすると彼らまで疲弊して戦線が崩壊すると。これは軍隊にとって致命的な問題となる。
故に米軍は熱心に研究していたとのこと。そのために対策をどうするのか。
有効なのは「できるだけ戦場に近いところで、できるだけ早く、シンプルに治療すること」だったと。
「早めに」「励まして」「休ませる」そのために、戦場に医師が出向いて、ストレスが溜まって弱っている兵士を励まし、治療を施すのだと。回復には睡眠が一番効くのだそうだ。
イラク戦線で最前線のER(緊急救命室)の中に精神科医がいるのは、米軍のこうした判断の表れだと。そういう配慮が行き届いている戦闘部隊は結局、強い。矢萩節の表題にある硫黄島守備隊が異例に強かったのも、司令官の栗林忠道が、兵士の糧食、睡眠に十分に気を使ったからでしょうと。
だけど上司が「今は休めよ」と部下に言うためには、どうしても必要なものがあると。
それは抜けた穴を埋めてくれる交代要員だと。激戦で「疲れたら休め」ということができなかった日本軍の死者の多くは何と餓死、病死、溺死だったそうだ。直接の戦闘によらない、補給や兵站の不備による死だった。
ここで「経営者の方に申し上げたい」と先生は語っている。
企業間競争を戦う以上、激戦は避けられないでしょう。それならば、社員がちゃんと眠れているかと考え、もし倒れたら「君が悪いんじゃない」と言ってやり、すぐに交代を送り込んで休ませる。
部下をギリギリまで頑張らせるのなら、これが可能になるように是非意識して欲しいと。
交代要員も準備せず、「最小限の人間で」と短期的な収益だけ考えているのなら、日本軍と同様、壊滅的な敗北を招くでしょうと。
結びで先生は、この10年日本の自殺者は中高年の男性を中心にそれ以前の2万人から急増、3万人を超えた。増えた1万人という数は日清戦争の戦死者とほぼ同じ。精神科医に言わせれば、既に戦線は崩壊し始めていると、警告をされてました。
矢萩節は計算してみました。
約3万人÷365日=82.19人(1日)/82.19人÷24時間=3.42人(1時間)
皆さん、どう感じます?なんと恐ろしい数ではありませんか。
今矢萩節がそして貴方達ぼけ~としている間にも誰かが自分の命を絶っているのです。
そんなことを絶対起こさせない会社経営を進めていかねばと肝に命じた記事であった。


3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

二年前、・・社に勤めていた友達が突然、自らこの世を去りました。前の日まで普通にしていて彼女とデートしてたのに なぜ?
彼の心の悩みに気が付けなかったことを今でも悔やみます。

イエ さんのコメント...

ブログを拝読していて同時に三つの事を想起しました。
一つ目は、簡単に言うと人間は危機を予見できて、対処法を知っていると精神、肉体ともに免疫力が増すのだそうです。つまり、逃げ場を知っているだけで、それを行使しなくても人は強くなれるということが実験でも証明されているようです。
二つ目は、栗林さんのような方がいて欲しい。先日も満座の席で女性上司が不条理な言い方で若手男性社員を叱責していました。肝心だなと感じたのは、その叱責にもあるのですが、誰彼と無くその場を離れていくということもありました。「言ってみて、やって聞かせて、ほめてやらねば人は動かじ」は、山本五十六さんの言葉だったと思いますが、そういうことをあらためて思い出しました。
三つ目が、これが一番なのですが自殺者数です。この数字を知ったのは、まだ小泉内閣の頃です。
が、過日ご紹介いただいた本「クラッシュ」の中にも出てくる「生きる意味」。これをまた思い出しました。

それは、これがわかれば人は、そうそう死なない生き物であると言うことを同じ精神科医であり、ナチ収容所体験者でもあるV.E.フランクル氏は、著書「新版・夜と霧」の中でも述べています。
もし、読まれていないようでしたら、ページ数は薄いものの、重く何かを揺さぶる著書であると思います。
私も「クラッシュ」を読んだ後すぐに読み返し反芻しました。ぼけっ〜としながらも生きる意味を。

匿名 さんのコメント...

匿名さん、イエさんコメントありがとうございます。
私の取引先の社長も昨年自ら命を絶ちました。残された家族の苦労と苦悩は今も続いています。
亡くなった方には大変申し訳ないが、残された家族がその人以上に苦しんでいる現状をわかって欲しいものですね。